皆さん御存じの通り、NA8Cシリーズ2はECUが16bit化されています。リアルタイムモニタ機能が付いたり(といってもプロトコルが不明なのでSSTが無いとなんの御利益もありませんが...)処理能力が上がったのは良いのですが、まんま27C256のROMが差さっているシリーズ1とは違って、マップに手を加えることが非常に難しくなってしまったようです。 もしSr.1のECUがつながれば僕等プライベーターにとってはこちらの方がやりやすいですよね。
マツダスピードから発売されているECUはSr.1用ですが、変換ハーネスを用いることでSr.2に搭載できます。それならば、同じ変換ハーネスが入手できればOKだと誰もがそう思うでしょうが、試した人の話によると、マツダスピードの変換ハーネスでSr.1のノーマル(ベース)のECUをSr.2につないでもエンジンはかからないそうです。 この話を聞いて僕は「多分、配線にもうちょっと手を加えれば動くだろう」と思い、Sr.1とSr.2のECUの入出力信号を調べて比較してみました。Sr.1、Sr.2それぞれのECUのピン配列はこんな具合になってます。
NA8C-100001〜 (Sr.1) ECU 端子ピン配列
2Y 2W 2U 2S 2Q 2O 2M 2K 2I 2G 2E 2C 2A 1U 1S 1Q 1O 1M 1K 1I 1G 1E 1C 1A 2Z 2X 2V 2T 2R 2P 2N 2L 2J 2H 2F 2D 2B 1V 1T 1R 1P 1N 1L 1J 1H 1F 1D 1B
NA8C-400001〜 (Sr.2) ECU 端子ピン配列
4Y 4W 4U 4S 4Q 4O 4M 4K 4I 4G 4E 4C 4A 3O 3M 3K 3I 3G 3E 3C 3A 2K 2I 2G 2E 2C 2A 1U 1S 1Q 1O 1M 1K 1I 1G 1E 1C 1A 4Z 4X 4V 4T 4R 4P 4N 4L 4J 4H 4F 4D 4B 3P 3N 3L 3J 3H 3F 3D 3B 2L 2J 2H 2F 2D 2B 1V 1T 1R 1P 1N 1L 1J 1H 1F 1D 1B Sr.2になって随分とピン数が増えたものです。しかし、実際にアサインされている信号の数は大差ありません。だって、エンジン、センサー、補機類の構成が同じですからね。
Sr.1とSr.2のピンアサインを表にまとめるとこうなります。あとはコネクタさえ入手できれば変換ハーネスを製作できますね。変換ハーネスじゃなくて、Sr.1のハーネスをどっかから持ってきてコネクタを付け替えても良いです。そっくり付け替えると後戻りできなくなる(笑)から、ハーネスの途中から二股に分岐させて、Sr.1用とSr.2用両方のコネクタを付けておくと良いかも。
Sr.1ピンNo. Sr.2ピンNo. 信号名 接続先 1L 1A クーリング・ファン制御信号 クーリング・ファン・リレー 2S 1B コンデンサ・ファン制御信号 コンデンサ・ファン・リレー - 1C - - - 1D シリアル通信信号 ダイアグノシス・コネクタ(KLN) 1E 1E サービス・コード出力信号 ダイアグノシス・コネクタ(FEN) - 1F - - 1J 1G A/C制御信号 A/Cリレー 1U 1H ヘッドライト信号 コンビネーションSW 2H 1I テストモード信号 ダイアグノシス・コネクタ(TEN) 2L 1J リヤ・デフロスタ信号 リヤ・デフロスタSW 1Q 1K A/C信号 A/C SW 1V 1L 有/無負荷判別信号 ニュートラル/クラッチSW 1M 1M 車速信号 スピード・センサ - 1N - - 1K 1O MT/AT判別信号 アース(MT)orオープン(AT) 1S 1P ブロア信号 ファンSW 1O 1Q ストップ・ライト信号 ストップ・ライトSW - 1R - - - 1S - - - 1T - - 2T 1U フューエル・ポンプ制御信号 サーキット・オープニング・リレー - 1V - - - 3A - - 2O 3B エアフロ・センサVGP信号 エアフロ・センサ 2N 3C O2センサ信号 O2センサ - 3D - - - 3E - - 2M 3F スロットル・センサTVO信号 スロットル・センサ 2Q 3G 水温信号 水温センサ - 3H - - 2K 3I 定電圧電源 スロットル・センサ - 3J - - 2P 3K 吸気温信号 エアフロ・センサ(吸気温センサ) 1N 3L アイドル信号 スロットル・センサ(アイドルSW) - 3M - - - 3N - - 2D 3O 入力部品アース アース 1P 3P P/Sプレッシャ信号 P/SプレッシャSW 2C 4A CPUアース アース 1B 4B 電源 メイン・リレー 2A 4C インジェクタ・アース アース 2B 4D 出力部品アース アース - 4E - - 2E 4F SGT信号 カムシャフト・ポジション・センサ 2G 4G SGC信号 カムシャフト・ポジション・センサ - 4H - - 1A 4I バックアップ電源 バッテリ - 4J - - - 4K - - 2I 4L エンジン回転数信号 タコ・メータ ←ここが間違い - 4M - - 1G 4N IGT1信号 イグナイタ - 4O - - - 4P - - 2W 4Q ISC制御信号 ISCソレノイド・バルブ 1H 4R IGT2信号 イグナイタ - 4S - - 2X 4T パージ制御信号 パージ・ソレノイド・バルブ 2U 4U インジェクタ信号 インジェクタNo.1 2V 4V インジェクタ信号 インジェクタNo.2 2Y 4W インジェクタ信号 インジェクタNo.3 2Z 4X インジェクタ信号 インジェクタNo.4 1I 4Y 水温信号(ATのみ) EC-AT CU - 4Z - - 1C - STA IGスイッチ 1D - MEN ダイアグノシス・コネクタ(MEN) 2F - エアフロ・センサ信号(-) エアフロ・センサ 2I - IGf信号 イグナイタ、タコ・メータ ←修正 - 4L エンジン回転数信号 タコ・メータ ←修正 下3行がSr.1にあってSr.2に無い信号ということになります。
するとSTA信号がいかにも怪しい。(笑) 整備書にもSr.2になってSTA入力を廃止した、と明記してありました。 どうやらノーマルのECUはクランキングしてもSTA信号が来ないと始動状態にはならず、フューエルポンプを動かしに行かないプログラムのようです。マツダスピードのECUはマップだけではなく、プログラム自体もノーマルと違うのでしょうね。
というわけで、IG SWのSTA端子〜ECUの1C端子間を配線すればエンジンはかかると思われます。
あと他にエアフロセンサ信号(-)が残っていてちょっと気になりますが、配線図を追いかけてみると、この線はクランクアングルセンサのGND、O2センサのシールドと何処かでつながれていますので、センサーアースということで電圧が振れるラインではありません。ただしECUに入力ピンがあるということは、回路はバランス入力でノイズを打ち消している雰囲気ですので、一応この線もエアフロセンサVGP信号と同じ経路で配線した方が良いかも知れません。エアフロセンサのコネクタの一番エアクリーナー寄りの端子がエアフロ信号(-)です。
ECUの入力ピンからパターンを辿ってみたところ、このラインは何処にもつながっていませんでした。エアフロセンサ信号(-)は放っておいても問題ありません。さて、以上のことを踏まえてSr.1のECUでSr.2のROMチューンにTryです!
といっても僕のRSはSr.1なので、本当に上手く行くのかどうか誰か試して結果を教えてください。(笑)'99.2.13追記
その後の調査の結果、エンジン回転数信号の経路の違いがあり、上記の対策ではうまく行かないことが判明しました。
Sr.1の途中かららしいのですが、イグナイタの仕様が変更になり点火モニタ信号(IGf)が廃止されました。 IGf信号とは、点火コイルの1次側に電流が流れているかどうかのモニタ信号です。 イグナイタの故障などでコイルの1次側に電流が流れなくなると、当然プラグはスパークしなくなります。 その結果未燃焼ガスが排気管に流れ込み、触媒が焼損します。 これを防止するためにSr.1前期のECUはIGfを監視していて、IGf信号が来ない場合はイグナイタNGと判断して燃料をカットします。
また、イグナイタからのIGf信号はECUの点火モニタの他にメーターパネルへ送られ、タコメーターを動かします。 つまり、イグナイタ変更後のECUでは、IGf入力が廃止された代わりに、タコメーターへ送る「回転数信号」出力がアサインされています。
このようにSr.2のイグナイタからはIGf信号は出ていませんので、Sr.1のECU(普通入手できるのはIGf廃止以前のモノが多いと思う)をつないでも燃料を噴きません。それでは、IGf信号を必要とするSr.1のECUでIGf信号が無いSr.2のエンジンを動かすにはどうしたら良いのか?
一つは、IGf信号を出力する変更前のイグナイタ&コイル(とハーネス追加?)を取り付ける方法。 もう一つは、IGf信号と等価なパルスを発生するエミュレーター回路を追加する方法が考えられます。
そこでイグナイタの回路仕様を参考に回路を考えてみました。 非常に簡単な回路です。このように変換ハーネスの配線に回路を割り込ませます。
抵抗は10kΩ、トランジスタは2SC1815あたりでOK。
これでばっちり動きます。'99.7.21追記
その後、最初"これが原因だろう"と睨んだSTA配線の有無は、実は関係無いということが判明しました。 IGfエミュレーター追加だけでOKみたいです。