A/Fメーター作ったる! (構想(注)編)

(注)「机上の空論」とも言う(笑)。

TO○EIのA/Fメーター、いまひとつ気に入らん

T○MEIのA/Fメーターを装着してから一ヶ月、排気温度計とA/F計の振れを観察してきましたが、期待していたより誤差が大きいらしい(それも条件によっては使い物にならんくらい)ということが判ってきました。 取り付け位置と走行条件を巧いこと揃えればそれなりに相対的な比較には使えます。 ま、お値段¥3万そこそこの製品じゃあ贅沢は言えませんが、できることならもうちょっと広い条件で安定した値が測定できるようにしたいです。 かといって数十万もする製品には手が出せませんし、それだけ投資するメリットも感じません。 CB誌の記事によるとインテグラルのA/F計が値段の割に正確らしいです。 そいつを買おうかとも思ってますが、ここはひとつ、モノになるかどうか判りませんが、お遊びで自作に挑戦してみましょう。

著者注
その後の調査で、実売価格¥10万を切るインテグラルのDM-20Mがリニア出力タイプの空燃比センサーを使用していて¥100万を越える測定器と同等の精度を持つことが判明。 十分な精度が¥10万で手に入るのなら自分で頑張るより買った方が良いです(^^;)。

まずはお勉強 ということで、A/F計の原理についてのお勉強から始めましょう(^^;)。

O2センサ

排ガスセンサはスイッチング出力形の酸素センサとリニア出力形の空燃比センサに大別されます。 A/F計に適しているのは言うまでもなくリニア出力形の空燃比センサの方ですが、リーンバーン車の一部と非常に高価なA/F計に採用されているだけで、素人には入手困難です。 また、例え入手できたとしても制御がちょっと複雑且つノウハウも絡んでくるようで、回路が作れそうもありません。(←だからちゃんとしたA/F計は高価なのか)
一方スイッチング出力形の酸素センサの方は、三元触媒が働く理論空燃比にフィードバック制御を掛ける現在の電子制御エンジンには必ずと言って良いほど付いています。 主流はジルコニアO2センサであり、安価なA/F計もこのセンサでA/F値を測定しています。

ジルコニアO2センサの基本構造は、内外面に白金コーティングによる電極を持つジルコニア固体電解質の管で、酸素分圧の高い大気側から酸素分圧の低い排気ガス側に向かって酸素イオンが流れることで電極間の酸素分圧比の対数に比例する起電力が発生します。

ジルコニアO2センサの起電力は次のNernstの式で与えられます。

ここで、 これは決して空燃比と起電力の関係式ではないことに注意してください。
Rich領域では電極に使われている白金の高温での触媒作用によって臨界的に電極付近のガスは酸化され、スイッチング出力形というその名の通り出力は理論空燃比を境に急激に変化します。

スイッチング出力形ジルコニアO2センサの A/F - 起電力特性

この特性は理論空燃比にフィードバック制御するのには大変都合が良いのですが(と言うよりその為に開発された訳だから当然です)、Rich及びLean領域のA/F値を求めるには甚だ不向きであります。 なぜならRich及びLean領域ではA/F値の変化に対するセンサの出力変化の度合が僅かであり、しかも温度によってかなり大きく変動してしまう為です。 しかしそこをなんとか、無理やり且つ強引に、もう殆ど力ずくで(笑)変換回路を使ってA/F値をはじき出しちゃうのが、O2センサを使ったA/F計なのです。 そして、その変換回路がどれくらい正確にO2センサのA/F - 出力特性をトレースしているか、温度変化に対する補正をどの様に行うかがA/F計の精度を決定づけることになります。

TOM○Iのアンプの中身はな〜にかな?

ボクが現在使っているA/F計のアンプは、蓋を開けてみてもICの型番が消してあって、おいそれとコピーされないように細工が施されていましたが、センサ代わりの入力信号を突っ込んで見れば単純なアナログ折れ線変換回路であることが容易に解ります。 はっきり言って隠すほどの回路じゃありません(笑)。 センサ温度の違いによる誤差は考慮されていないようです。 マニュアルにはセンサ動作温度範囲が450〜800℃とありますが、メーターがまともなA/F値を指し示すのはこれよりうんと狭い温度範囲のハズです。 おそらく600℃近辺と思われます。 使いこなすにはテスト中この温度をキープするか(どうやって? (^^;))、温度の違いによるメーター指示値のズレを見込んで測定値を評価するというテクニックが必要になります。 この事を理解せずにメーターの指示値を信じ込んでセッティングをすると全然的外れなことになりかねませんので、同じタイプのA/F計を使っている人は気をつけましょう。 できればボクのようにO2センサと一緒に排気温度センサーも取り付けることをお薦めします。 目安にはなります。でもあくまでも目安です。どんなに近くに取り付けても 排気温度 = O2センサ温度 ではありません。頭を働かせて排ガス→センサ→エンジンルームという熱の移動のモデルをイメージして、現在の排気温度とそれまでの履歴から現在のO2センサ温度を推定するしかないです。むつかしいです(^^;)。

ジルコニアO2センサで精度を出すには?

では、スイッチング出力形ジルコニアO2センサを用いたA/F計でそれなりの精度を得るにはどうすれば良いのか? ポイントは既に書いた通り、センサのA/F - 起電力特性と、温度特性の2つを正確にトレースする回路を作ることです。 そんなもん簡単に作れるんかいな?(^^;) まあ、そういわずにお遊びですのでなんとか出来ないか考えてみましょう。

まず知りたいことは使用するジルコニアO2センサの特性ですね。 でも、秋月電子とかに行って「O2センサくださいな」と言えばデータ付きで手に入るものではありません。 仕方がないので、温度特性も含めた特性図が記載された文献を大きな書店を巡って探しました。あまり多くはありませんが、2・3見つかりました。でも、出典は同一(とある英語の研究論文)らしいです。 これ以上の資料は論文誌や○○技報とかを検索しないと見つからないかも。 そのうち暇ができたら国立国会図書館にでも行って探そうかと思います。

さて、探しだした文献の中にこんなグラフがあります。


1番目は酸素余剰率λ 対 起電力のグラフ、その次のは排気温度 対 起電力及び内部抵抗のグラフです。このデータを元に温度補正のマップを作成すればいけるかな?と思っとるんですが、 ここで、「はたしてこれから使おうとしているO2センサもこれと同じ特性と考えて良いのだろうか?」という疑問が浮かびあがってきます。 Lean領域ではNernstの式に従うと思われますが、Rich領域では電極の有効表面積などの違いによって触媒の効き方に差が表れるような気もします。 しかし、このデータ以外に拠り所がないので、「おんなじジルコニアO2センサである、特性もどれも一緒に違いない。」という恐らく間違っているであろう根拠のない仮定の下にこの物語はずんずん進みます(笑)。

温度の影響を減らす

安定したA/F値を求めるにあたって一番の障害となるのが温度です。 温度によらずそこそこ正確なA/F値を求める為に、
  1. センサの温度を安定させる。
  2. センサの温度に応じて補正を掛ける。
の2つのアプローチを考えます。

(1)のセンサの温度を安定させるには、ヒーターでセンサを加熱します。実際ジルコニアO2センサの多くにはヒーターが内蔵されていまして、NA8Cに採用されている純正O2センサーもヒーター付きです。 もっとも、このヒーターは始動してからセンサが作動するまでの立ち上がりを早める為のもので、バッテリー電圧(IG)が掛かりっぱなしになっています。 ヒーターの抵抗体の主成分はタングステン。高温になるほど抵抗値が上昇しワッテージが下がりますので、特にヒーター制御を行わなくてもセンサ温度を安定させる働きが(少し)ありますが、ここでの目標には遥かに及びません。
排気温度によらずセンサの温度をある範囲に保つには、センサ温度を検出してヒーターの電力を加減するというフィードバック制御が必要です。 ちなみに、同じジルコニアを使ったリニアタイプの空燃比センサも温度依存性があり、同じようにヒーターのフィードバック制御を行っています。
では、ヒーターをフィードバック制御すればセンサを一定の温度に保てるかというと、恐らくそれは無理。ボクの車での現在の取り付け位置だと、排気温度の上限が800℃程度にはなります。そうするとヒーターでは冷却は出来ませんから、アイドリング時の排気温度が低い300℃辺りでもセンサ温度を800℃近くまでちんちんに加熱しないといけません。ヒーターの容量は10Wそこそこですので、まず不可能でしょう。
ということで温度制御を行っても、しない時に比べ300℃〜900℃だったのを500℃〜700℃にするといった程度の効果しか得られないと思われますので、ヒーター制御をしてもしなくても次の温度補正は必須です。

(2)のセンサの温度に応じて補正を掛けるには、あらかじめセンサの温度特性を調べておいて補正式なり補正マップを作成し、センサの出力信号と温度からA/F値を演算します。...な〜んて書くと簡単のようですが、いろいろと問題があります。 一つはセンサの正確な温度特性データが必要なこと。ま、これは上のグラフを当てにしてでっち上げることにしますので、ここでは無視(^^;)。 もう一つは、賢明な読者の方はうすうす感付いているだろうと思いますが、センサの温度をどうやって測るのか?これ、とても重要です。

O2センサ温度の測定法

まさかO2センサの電極に直接温度計を当てて測るなんて訳にはいきませんので、間接的に測定する方法を考えます。 思いついたのが次の3つの方法です。
  1. 排気温度センサをO2センサに近接して取り付ける。
  2. O2センサ内蔵のヒーターの抵抗値から換算する。
  3. O2センサの内部抵抗値から換算する。
(1)の排気温度から求める方法は既に書いた通り、排気温度センサとO2センサとの温度差があったりするので難しいです。高速道路を100km/hで巡航といった同じ排気温度が続く条件なら、温度平衡に達するのでそれなりの精度で推定出来ますが、普通テストしたいのは排気温度が変化していく過渡状態が殆どですのでこの方式は実用的でありません。

(2)はヒーターの抵抗体の温度係数を利用して、ヒーターを温度センサとして使う方法です。 一度、センサの温度を常温、高温と2点の温度にしてその時のヒーターの抵抗値を測定して温度係数を調べておけば、以後それをもとにかなりの精度でO2センサの温度を求めることが出来ます。 正確には「O2センサの温度」ではなくて「ヒーターの温度」ですが、近い所にあるので近似できると思います。
抵抗値の高温側の測定は、高速巡航で熱平衡に達した状態で測定、排気温度計の指示値をその時の温度と見なすことにします。
この方法の難点は、センサ温度を安定させる為のヒーター制御と両立し難いだろうな、ということ。ヒーターに通電して発熱させるとO2センサとの温度差が生じて誤差が大きくなります。

(3)のO2センサの内部抵抗から温度を測定する方法は、実はリニア出力タイプのジルコニアセンサのヒーター制御でも使われている方法です。 上のグラフで示されているように、ジルコニアセンサの内部抵抗は温度によって変化します。 この内部抵抗を電圧降下法によって求め、それが一定の値になるようにヒーターへのフィードバック制御を行うのです。
温度と内部抵抗のカーブが明らかになれば、その変換テーブルからセンサ温度を算出することが可能ということで、これはかなり有力な手段といえます。
ただし、やはりこれにも問題点があります。それは内部抵抗の経時変化です。ジルコニアO2センサの電極は高温の排ガスにさらされ、次第に劣化していきます。 劣化の度合は温度と時間の積に比例するらしく、使用温度が高いほど寿命が短くなります。 恐らく、コーティングされた白金が次第に失われ、電極の有効面積が減少することで内部抵抗が上昇していくのではないかと思いますが、手元の文献には明確には解説されていませんのでこれはボクの仮説です。
まあ、要するに定期的なキャリブレーションが必要ということです。

そんな訳で、一応(3)の方法を主に採用することになるでしょうが、同時にデータ収集及び、キャリブレーションの為に(1)(2)の方法も用いてぼちぼちやって行こうかと思います。

つづく。


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